民間保険会社の医療保険へ加入することを検討する場合、まずは公的な医療保険制度である「健康保険」や「国民健康保険」などでの保障がどのような仕組みかを知っておく必要があります。基本的に民間の医療保険は、ケガや病気で入院や手術をした時のために備える保険です。そのため公的医療保険で受けられる保障のうち、不足部分を補うために民間の医療保険を検討しましょう。
医療費が高くなっても大丈夫?
医療機関の窓口で保険証を提出すると、一般の人が支払う医療費の自己負担額は、かかった医療費に対する3割分です。しかし長期で入院した場合や、手術や検査などを重ねると、例え3割負担でも医療費はかなり大きくなるケースもあります。そのような場合、入院や手術の費用を軽減する制度として「高額療養費制度」があります。
高額療養費制度とは
医療費の自己負担が高額になった場合、負担が軽くなるように設けられた制度で、医療機関や薬局窓口で支払った1か月分の医療費が、自己負担の一定額を超えた場合に超えた金額が支給されます。ただし差額ベッド代、入院時の食事代の一部負担、先進医療の技術料などは高額療養費制度の対象にはなりませんので全額自己負担する必要があります。
自己負担額の上限
最終的な自己負担額となる毎月負担する上限額については、加入者の年齢が70歳未満かどうか、そして所得水準などで異なってきます。(平成30年6月現在)医療費の負担額は、同じ月内に同じ公的医療保険に加入している同世帯の人の医療費も合算できます。
自己負担限度額の計算方法は?
自己負担限度額を算出する時には、次のようなことに注意して行ってください。
・医療費は毎月1日~月末まで分で計算する(月をまたぐ時には別々に計算する)
・同じ医療機関、診療科ごとに計算する
・同じ医療機関でも医科と歯科は別で計算する
・入院と通院を分けて計算する
・差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療にかかる費用、歯科の自由診療など対象外になる費用を含めない
ただし過去12か月以内に3回以上、高額療養費制度で支払いを受けている場合には、4回目の自己負担限度額が下がります。加入している公的医療保険の機関に問い合わせて確認するようにしましょう。
医療費の自己負担をさらに軽減するために
公的医療保険では医療費が高額になった場合にも、高額療養費制度があることで医療費の負担が軽減されます。高額療養費制度では適用とならず、全額自己負担しなくてはならない費用もありますのでその場合には民間の医療保険でカバーしておくと安心です。民間の医療保険は、入院や手術、治療を受けた時に入院給付金や手術給付金として支払われますが、使い道は限定されていませんので自己負担しなくてはいけなくなった費用をカバーするために使うことができます。まだ加入されていない場合には自己負担分を軽減するために検討してみると良いでしょう。